2014/04/15

「惡の華」第56話 覚え

予告によれば次号で最終回であり、4年間半見続けた作品が終わる。
今回も覚えを書いておこう。

こっからはネタバレなので読みたくない方はやめといてください。

【悪の華が散ること】
悪の華が散るということは、思春期=ここでは青春 の終わりであろうが、春日くんの表情は、懐かしいものを見る感じ。つまり、春日くんは思春期=青春が終わったものとして懐かしさの対象としている。
散っていく悪の華の花びらは、タンポポのそれを連想させる。
タンポポのかわいらしい形は幼少期を何となく想起させるものであり、その花びらの集合体の形は仲村さんの髪型も連想させる。

【思春期=青春=幼さ=仲村さんとの関係】 の終わりということか。

【夢の描写】
寝苦しさの中で春日くんが見た夢は、登場人物達が紆余曲折ありそうでありながら落ち着くところに落ち着いた、という内容であるが、これは春日くんの無意識下の想像力が考えたものである。

・常磐さんはミステリ作家として成功して自分と結婚し、女の子を授る
・佐伯さんは幸せな(?)結婚(小泉くんではない人と!)をして、桐生で木下さんと再会したりする
・仲村さんは外川でお母さんの店で【ちゃんと】働いて、お父さんとも和解する

、、、というあたりさわりのないドラマ。

これは、春日くんが物語の進行の中で得た情報を元に作り出した、【彼にとって】最高にハッピーなエンド=【都合のいい終わり方】であろう。

(*佐伯さんについては、不幸な境遇も連想させる描写(なぜか子供たちを連れずに一人トローリーを押して桐生を訪れる)があったりして、佐伯さんに対する春日くんの複雑な感情を反映しているのかもしれない)

正直、これで終わられてしまうとあまりにも差し障りなくて、「背徳の純愛ストーリー」としてどうかと一瞬思ったが、、、

だが、そうはならないようだ。なぜなら、、、

【もう一人の仲村さん】
夢の中で、外川の仲村さんとは別に、都会の横断歩道に現れた仲村さんについてはどうだろう? 
垢抜けた髪型、黒いドレスと、外川の地味な仲村さん像(*)からはるかに飛躍していることから、春日くんの想像力の範疇を超えたもののように思える。

*外川の地味な仲村さん像:e.g. Tシャツ、エプロン、スカート、白ハイソックス、コンバース的シューズ、普通の髪型、アホ毛

仲村さんに対しては、春日くんの中に、二つの矛盾した願望があるのかもしれない。

ひとつは外川で家族と仲良く暮らしていて欲しいという願望であり、もうひとつは都会(=自分の住んでいる街)に、中学生の時と同じような黒いドレスと髪型をまとって現れて欲しいという願望だ。

黒い服の仲村さんの頭の形は、まるで悪の華の花弁の集合体のようであり、目は外川で見せた毒気のない目ではなく、中学生のときと同じような【蛇のような】目である。

春日くんにとっての「ミューズ」であり「ファム・ファタル」とはこっちなのだろう。

でも、、、たぶん大丈夫。なぜなら、あらゆる人生において「ミューズ」や「ファム・ファタル」とは結婚できないことになっているので。

そもそも、もう1話残っている。果たしてどうなるか。

予告のあおり文句は「鬱屈し、それでいて激しく輝いた青春の残像に春日は何を思うのか」である。

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