2016/11/16

白鷺問題 「この世界の片隅に」

他に書きたいことは色々あるけど、
とりあえずこの問題。

これは映画「この世界の片隅に」についての個人的な印象である。

すずさんはぼんやりしている人というだけじゃない。それだけは最初に書いておきたい。
なぜ、艦載機の空襲の時、すずさんは白鷺を追ったのか。

白鷺は幼少の頃の思い出のなかの鳥だった。(納屋の夜での羽ペンの挿話を見よ)
夢のような時を想起させるのだろうか。彼女にとって美しい、本当の世界の(ゆがんでいない)自分を象徴したみたいなものだろうか。
「この世界に来るな!本当の(どこかにいるはずの)私(と、水原哲との美しい思い出)、、、」ということなのだろうか。

だとすればすずさんのあのときの悲しみの広さ、深さが、私自身が想像できない途方もないものだろうということだ。

私にとって、それはVan der Postの乳母が語った白い鳥の話(新思索社版「影の獄にて」由良君美のあとがき所収)にだぶって、もう平静ではいられない。すずさんはあの乳母のような、真理の本質を知る人だったのでは、、、、とまで思う。

このことを考えると、心がざわざわしてしまう。


皆さんも本当に観た方がいいよ。