2009/04/30

アクロバティック録音

カセットが満足に聴けるようになったので
いよいよデジタル録音開始だ。

まずは戸川純の「裏玉姫」と「太田蛍一の人外大魔境」だろうな。

しかし、この録音用機材なんだが
iPodの充電状況に左右されるところが問題だ。

そして、消耗も早い。
満充電状態でも1時間でバッテリーが切れてしまう。

なので、休み休み、充電しながら録音だ。

そして、音声をモニターするために
ウォークマン側にヘッドホン端子を分岐するアダプタを付けている。
下に延びている線はヘッドホンのコードなのだ。

これで聴きながら録音できる。
ただし、動かすと雑音が入るので静かにしていなければならん。

こうした苦労の甲斐あって、無事録音には成功した。

これであらゆる環境で
「裏玉姫」と「太田蛍一の人外大魔境」が聴けるわけだ。
ipod shuffleに入れて出張にいくことも、
ipodをクルマに繋いで運転中に聴くことも出来る。

いいことなのか悪いことなのか。

2009/04/29

22年もの修理完了

風邪のウイルスがおなかに回ったようで、
飲み会のあと一晩中嘔吐して一睡も出来なくて
昨日は病院で胃カメラと点滴を受けました

教訓; 風邪のあとはおとなしくしてろ
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体調もよくなってきた。ベルトは昨日届いていたのだが
とてもいじれる状況ではなかった。

再度ウォークマンを分解して、ベルトを外してみる。
すると、これだけ延びてる。
すげえ。どうりでヘンな音な訳だ。

ねじれがないように慎重に、架け替える。

さっそく聴いてみよう。


、、、、まだわずかに音揺れがあるが、
大幅に改善されたよ。
(となりのは黒と赤のものは巨大ヘッドホン)
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(追記)
保存状態の良いテープと、そうでないテープとを聴き比べたところ、
保存状態の良いテープのほうは音揺れがほとんど感じられない。
この音揺れはテープ由来のものであることが分かったよ。
ようするにワカメ状になってんだな。
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これならテープメディアのMP3化に使えそうだ。

あとはヘッドを消磁したいのだが、
うまい方法はないだろうか。
今後、模索して行きたい。

だいたいなんでも売っている

あーあ、交換ベルト、在庫ないのかよー。
しょうがないなー、と、

ここであきらめてしまうと、
せっかく読んでくれている皆にも申し訳ない。

いちいちこの程度であきらめていたら
オールドクラインには乗れないよ。

このブログの隠れたテーマは
「簡単にはあきらめない」ということでもある(今考えた)。

そこで、某巨大オークションを探してみたところ、、

いる。オーディオ用ベルトを売っている人が。
それも、太さ・直径をオーダーできるのだ。
なんでもあるなあ、インターネット。

さっそく「角ベルト」を注文してみた。

1本250円程度で買えたよ。
材質はちとオリジナルとは違うようだが、
おそらくはダイジョウブだろう。(根拠はない)

いま付いている古いベルトは直径74mm。
どうやら相当伸びているようだ。
そこで、太さが1mm、直径70mmのものを注文してみた。

なぜ70mmか。ネットに載っている伸びたベルトの写真をみて、
だいたいこんなもんだろうとおおざっぱに推測したのだ。


で、届いたのがこれ。

2009/04/24

内部の探求

入手したウォークマンであるが、
もう22年も経過している。ガワは新しいんだけどね。
一応なんとか動き、音も出るのだが、
なんとゆーか、ワウ・フラッターがけっこうある。
かんたんにいうと、音揺れだ。

まあ我慢すれば聞けないこともないレベルなのだが、、、

音揺れの原因は先人が詳しく分析しているので山椒魚、もとい参照しよ
う。
http://www.asahi-net.or.jp/~an4t-tkns/taro/walkman/otoyure.htm

、、、、まあ、ゴムベルトが伸びている、
と勝手に推測してみようじゃないか、諸君。

まずは開腹。ネジを外すと裏蓋は簡単にはずれる。
ドルビーなどのスイッチははめ込み式なので
この際にはずれてしまうが、簡単に直すことが出来るのでよし。

裏蓋を外すとベルト駆動装置が白日のもとに。

さて、問題のベルトだが、、、
うっ、緩い。
ちょっとつついただけではずれてしまう。

これではトルクをうまく伝達していないことは明らかだ。
22年の間に(あるいは交換しているかもしれないが)、
伸びたんでしょうね。

要はこいつを交換すればいいんだろう?べらぼうめい。

さっそくソニーのサポートに電話してみたが、
交換部品としてのベルトは、この機種のはもうないそうだ。
ぎゃふん。

2009/04/21

なんとか入手

これまでのあらすじ

カセットテープをMP3化しようとして
ハードウエアの問題で頓挫中。

手持ちのプレーヤーが修理不能だったので、
どうしてもプレーヤーを調達する必要が生じてしまった。
現行品は安いのだが音質的に問題がある。

(オレ自身は風邪をひいて会社を休みチョコパイを食っている)
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ということはアレだよな。中古品を購入だよ。
カセットテープ黄金時代のウォークマンを入手すればいい。
ただし、壊れていないヤツを!

そんなわけで某巨大オークションにて
1987年型のウォークマンを入手。
4600円也。当時は26000円もしたのだ。
http://www.sony.co.jp/Fun/design/history/product/1980/wm-504.html

ちなみに現行で手に入るウォークマンのMSRPは3600円。
げっ。

まあしかしコストの掛け方が違うであろう。

しかし見てほしい。これが22年前のデザインであろうか。
すばらしい。
ソニーは再びデザインに注力すべきだろう。

2009/04/18

修理不能の宣告

見積もりの結果は、、、
残念ながら修理不能、とのことだった。
ガーン!

担当の方がもとソニーのサポートにいたそうで、

「まずムリですね」とおっしゃった。

「本体が非常に薄い構造なので、電池の液漏れで
基板が直接ダメージを受けてますから、、、」

ひいーっ!

「飾っておく分にはきれいですよね」

たしかにそうだ。

しかし、オレにいま必要なのは
ステレオかつ、ある程度高音質で出力される
カセットプレーヤーなのだ。

そこで近所の大型電気店を彷徨ってみたが、
「ステレオカセットプレーヤー」なるものが
売っていない!
絶滅に瀕していることが分かった。

かつてあった高音質のものなど望むべくもない。

次の手をどうするか。

2009/04/17

押し入れ物件

録音装置はLPで実証したiPodとMicromemoを使うとして、
まずはカセットテープを高音質で再生する装置が必要だ。

オレのカセットデッキは遙か以前に壊れた際に捨ててしまった。

どうする!

こんな時はとりあえず物置をまさぐってみよう。
、、、段ボールの中に、こんなもんが。

ソニー・ウォークマン(WM-R707)。
うわー。1989年型。また古いものが出てきたよ。
果たして電源を入れても、まったく動かない。
どうやらぶっ壊れているようだ。

さっそくソニーの修理窓口たる
修理チェーン店Mr.コンセントに行ってみよう。

2009/04/15

「電車でGO」含有

前に書いたように、
既存の録音デバイスを用いて
LPというアナログソースを
デジタル化(MP3)することができた。

ようやく「憂悶の戯画」をiPodで聞けるようになったんで、
すごく嬉しいね。
毎晩寝床で聞いている。

さて、ここしばらく、自分の好きな音楽の原点とゆーものを
探る行為を続けてきたのだが、
もうひとつ重要なソースがある。

それがこれだ。カセットテープ。
物置から出てきたのだ。

大学生当時、友人に貴重な音源を録音してもらったり、
レコード会社からカセットテープ音源として販売されていたりしたものを
捨てずにちゃんと持っていたのだ。物持ちよし。

今のオレにとって、とくに重要な音源として、
アルファレコードからカセットのみで供給されていた「裏玉姫」がある。
これも1984年当時のものだ。これは大学生協で買ったんだよな。

もうテープが劣化しているかもしれんのだが、
なんとかしてデジタル化したい。

、、、でも、どうやって?

2009/04/12

アナログメディアのデジタル化

過去の音源を探索してきたわけだが、
同時にアナログメディアをiTunesに保存していこうとも思う。

こうしておくと、いつでもどこでも、劣化なしに聞くことができる。
もっとも、デジタル化の過程で情報のある部分は省略されてしまうが、
正直、オレの耳にはわからないかもしらん。

さて、デジタル化の方法だが、
かつて購入したXtremeMac社のMicromemoという製品を使う。
これはiPodのドックに付けると録音が可能になるというもの。
ライン入力も可能なんだよ。
残念だが現在は売っていないようだ。

今回はアンプのテープメディア用Rec Outに接続してます。

では、LP(玉姫様)の録音をしてみよう。うわー、、、緊張す
る、、、

録音のオペレーションはすぐに終了。
一見成功したっぽかったのだが、通して聞いてみると、
所々で音飛びが発生してしまっている!!!

うわー、、、これはPCM録音機を買えってことでしょうか。

原因を模索したら、某掲示板で、
iPodのハードディスクの断片化のせいではないか、という
情報を得た。

そこで、断片化を解消すべくiPodを「工場出荷時の状態に戻」し、
ふたたび録音を試みたら、成功したよ。

このようにLPを録音すると全曲が1個のファイルになってしまう。
これをAudioslicerというフリーウエアで曲ごとに分割しようと
したが、
どうもうまくいかない。頓挫。

とりあえず、1個の巨大ファイルであるが、
無事iTunesに移すことができたところまでですな。
曲分割は今後の課題としよう。

2009/04/09

空前絶後を体験する

次は「好き好き大好き」。
こいつは1985年の冬のある日、発売と同時に購入したものだ。

戸川の解釈によるアイドルソング集というふれこみであったが、
いま改めて聞き直したら、、、

濃い。

言葉で表すなら「過剰な愛憎・執着」であろうか。

オレはもっとも気合いが入っていると思われる
「好き好き大好き」という曲が一番好きだ。

「さよならをおしえて」という楽曲の
「大惨事が起きて街中が廃墟と化しても」という歌詞の部分は、
あきらかに「第三次が起きて、、、」という不自然なアクセントを
つけて歌っている。
もちろん、これは第三次世界大戦にちがいない。

「ヘリクツBOY」という曲の一節に
「方法論で成り立っても実践性に欠けている」というのがある。(本当)
皆よ。どう思うだろうか。
歌詞としては空前絶後ではないだろうか。

これはぜひ仕事で使ってみたいフレーズでもある。

というか、今日、早速使ってみた。

「その事業計画は、たとえ方法論では成り立っているかもしれませんが、
実践性に欠けていると判断せざるを得ませんね」

などだ。皆も使うといい。

ここまで聞いてみて思うことは、
とにかく戸川純は、歌詞を曲に載せるのが素晴らしくうまいことだ。
もちろん自作の歌詞ということもあるだろう。

2009/04/07

推測される原点その1

オレの好きな音楽の原点を探る意味で、これは外せないだろう。
「ハルメンズの20世紀」。
初めてレコード評で読んでから27年。
ようやく紙ジャケット版CDを入手することができた。

「Q-Pダンス」、「マスクト・パーティ」などで戸川純のコーラスが聞けるほか、
「マスタード」ではメインボーカルとして歌っている姿を見ることができる。

また、ここには「母子受精」のオリジナルバージョンが収録されている。

「母子受精」はのちに戸川純がシングルB面で歌っているが、
オリジナルも雰囲気がある。
戸川純バージョンのほうがポップな感じで好きですがね。

「マスクト・パーティ」はゲルニカへ続く流れが見えるようだし、
「マスタード」は構成が素晴らしい。

学生時代、前身のバンド「少年ホームランズ」のLPを友人が貸してくれたのだが
そこで聞いた「焼ソバ老人」「ふにゃふにゃサイボーグ」も収録されてる。

このジャケットは、高橋修(FOX博士)によるもので、
FOXはその後戸川純の本の装丁などで見たことがあるが、それはまた別の話だ。
「レーダーマン」の作詞もしていますね。

2009/04/05

肝心の楽曲など

「極東慰安唱歌」なんだが、
写真に夢中になって楽曲のことを書くのを忘れた。

たしか、オレの記憶では、販売前のプロモーションでは
「極東慰安唱歌集」というタイトルでの予告だったのではなかったか。
(うろ覚え)

今回はハルメンズの楽曲は歌っていない。
そのかわり、細野晴臣が「夢見る約束」を提供していたりする。

コンセプチュアルなアルバムということで、
「玉姫様」のようなジャンルの広がりや
びっくり歌唱法は抑えめになっているが、
タイトルに描かれたテーマは忠実になぞっている。

これは、戸川純が収集した「郷愁」の唱歌集なのだ。

そのため、琉歌あり、モンゴルを望郷する歌あり、
新宿区立戸山小学校の運動会応援歌あり、
極東花嫁のくぐり抜けたる青春の門あり、
雨の降る坂道で口笛を吹きながら
うつむいて思い出すあの夏の空の色の歌あり、
という東アジア的なものとなっている。

この中では「眼球綺譚」が好きですな。

いまだにオレにとって謎なのは
「眼球綺譚」冒頭で録音されているなにか動物のような声が、
いったい何を意味しているのかということだ。

なんとなく分かるような気もするが、
文章にするのは怖いのでよしておこう。
気になる人もそうでない人も
ぜひ聞いてみてほしい。

(ベスト盤 TOGAWA LEGEND にも収録されています)

2009/04/04

埋立地に立つ

この写真を見て欲しい。

これは、アルバム「極東慰安唱歌」の中に入っている
大きな歌詞カードの片面に、カラーで美しくプリントされたものだ。

正方形の画面に映し出されたものをじっくり見てみよう。

ほどなく小糠雨が降り出しそうな空だ。
地面は黒いが、土ではなく、荒い砂のようだ。
前に降った雨のせいか、しめっているので黒く見える。
所々に、クルマのタイヤの痕が見える。

遠くには海浜近くにあるコンビナートのような工場群が、
うすくけぶっている。
ここは埋立地だろうか。

画面の真ん中には、戸川純が立っており、
カメラのある位置の左下方の、なにかを見つめている。

戸川は短い黒い髪をしており、
外字新聞のような模様がプリントされた服を着ている。

表情はない。
戸川は裸足で、黒い砂を踏んでいる。

・・・・・・・・・・

この写真を見ていると、自分もこの埋立地の砂の上に立っている
ような感覚にとらわれる。

手を伸ばせば、戸川に届きそうだ。

この写真こそ、このミニアルバムが描いた世界、
東アジアのこの国に住む我らのための慰安、そのものだ。

この写真を見るためだけに、
この45回転12インチLPをオークションで買う価値があるよ。
(残念だがCD版の歌詞カードにはこの写真は収められていない。)

もちろん、曲も素晴らしい。

(この写真は植田正治が71歳の時に撮ったものだ) 

2009/04/01

これから過去の音源を聞き直すよ

アナログレコードを聞ける環境が整った。
まず、最初はこれだろう。
実家の押し入れに眠っていたLP、戸川純の「玉姫様」。

まだ聴いたことのない人は、
先入観を捨てて、一度、無心に聞いてみてほしい。

吟味された詩の世界もさることながら、
録音された歌声のすべては
彼女の緻密な計算に基づく演技、というか創造だ、
ということが分かるはずだ。

それを実現するのが、あの
びっくり歌唱法(声が無限に変化する)なのだ。
そんなことができるのはたぶん、天才の仕事ではないか。

ヘンな歌い方、としか感ずることが出来ないなら、
君の感受性こそつまらないだろう。

まあ、このアルバムで一番好きなのは
「憂悶の戯画」という短い曲なのだが、詩の世界が素晴らしい。
童心、西洋、身の回りの小さな世界といったものが
渾然一体となったそれは、この詩でしか表現できない。

「隣の印度人」や「電車でGO」(このアルバムではないが)など、
ハルメンズの曲を歌っているのが多いが、
まさに戸川純のために生まれた曲といってもいい。
それを自分の独自・独特・唯一無二の解釈で、完全にものにしているの
だ。

↓ サエキけんぞうによる評
http://allabout.co.jp/entertainment/technopop/closeup/CU20080501A/
index5.htm

「諦念プシガンガ」の、絶望を通り越して
なにもない青空にまで突き抜けてしまった世界や、
「蛹化の女」を「むしのおんな」と読ませる
そのセンスが素晴らしい。

まあ、つまり全曲素晴らしいってことだ。

思春期に聞いたら、人生が確実に変わる1枚である。