今回、安息海第5話を描くに当たり、資料を集めてみた。
「米軍資料 日本空襲の全容」小山仁示訳 東方出版 1995より。
作戦任務第328号
1.日付 1945年8月14・15日
2.目標 日本石油秋田製油所-土崎(Nippon Oil Co. at Tsuchizaki)
3.参加部隊 第315航空団
4.出撃機数 141機
5.第1目標爆撃機数の割合 93・61%(132機)
6.爆弾の型と信管 M30 100ポンド通常爆弾とM57 250ポンド通常爆弾 無延期弾底
7.投下爆弾トン数 第1目標953・9トン 臨機目標3・2トン
8.第1目標上空時間 14日23時48分-15日2時39分
9.攻撃高度 10,200-11,800フイート
10.目標上空の天候 5/10-10/10
11.損失機数合計 0機
12.作戦任務の概要 成果は未確認。9機が無効化出撃。2機のB29だけが目標を目視。敵機を視認せず。目標で、重砲、貧弱、不正確な対空砲火に遭遇。13機のB29が硫黄島に着陸。平均爆弾搭載量15,338ポンド。平均燃料残量1,345ガロン。
土崎空襲の米国側資料の翻訳資料を入手。
天候表示が5/10-10/10、これは低空の雲量を示す。曇り、ということだろう。
第一目標到達時刻は14日23時48分。攻撃高度は10,200~11,800フイートというからおおよそ3000m。高射砲の応戦は若干あったようだが、迎撃戦闘機は1機もなく、攻撃側の損失機はなし。
当時の目撃者のオーラルによれば、部隊は一度爆弾を投下した後、八郎潟上空を旋回し再び土崎上空に戻り、再度爆撃を行った。
20km離れた船越からも爆撃の様子が観察された、という描写も、当時の目撃者のオーラルによる。
臨機目標とは、攻撃を受けた高射陣地などを攻撃したことを示すのだろうか。
(臨機目標として船越の防空監視哨は攻撃されなかった。)
なお、同日夜半過ぎころ、秋田県南部の睦合村上空を多数の航空機が飛ぶ爆音が聞こえた、とのオーラルあり。よって、飛行コースは秋田県南部から土崎へ向かうルートだったろうと推測した。
このうち、安息海第5話では、20km離れた船越からの様子をオーラルに基づき推測・再現した。オーラルには爆発音、赤い炎、という言葉が出てくるので、それらを取り入れている。