2014/02/25

惡の華 作画の変遷について

漫画「惡の華」は、一般に、1−2巻の絵と
それ以後は全く違うと言われている。

オレもそう思い、「3巻以降の画力の向上が著しい」
などと、わかったような口ききやがっていたわけだが、
(ふざけるなよ、と仲村さんにドスの聞いた声で責められそうだ)

これって押見先生が意図的にやっているのではないか。

1−2巻では、平板かつ、なんとなくほんわかした絵だが、
(モブシーンなどに顕著)
3巻の山登りあたりから鬼気迫るものに激変する。
人物描写も背景も奥行きが深くなって、
より現実感をあたえるものになっている。

これって急に画力が向上したからじゃないな、、、
(もともと相当、画力の達者な人なんだと思う。)

1−2巻では「幼さ」を端的に表現するため、こんな平板な絵にしたのではないか。

押見先生は「思春期とは小学生と、分別の付いた者の間」という趣旨のことを述べているが、絵の変遷はおそらくはこれと連動しているということ。

つまり、1−2巻の登場人物たちを、もともとは分別なく、
悩みもない存在だったんだよ、ということを描くために、
わざとそんな幼い絵にしたということじゃないか。

これによって、読者は3−6巻の間に起きる事件の、現実感ある描写により、
さらに衝撃を感じるだろう。

そして、7巻から次第により内省的な絵に変貌していっているが、
これは登場人物が分別を得て成長していることを表していると思われる。